
一般的な病院治療では腹膜穿刺や利尿剤などの対処療法が行われます。
一時的には改善されますが、再び腹水が溜まってしまう状況に苦しまれている方が非常に多いのが実情です。
その反面、漢方薬では、腹水の自然排出や根本治療を目指していきます。
この記事ではそんな、腹水の漢方治療についてご紹介致します。
肝硬変から腹水になった際の症状や余命
腹水になる原因の代表的な病として、肝硬変など肝臓病や癌などがあります。
肝硬変から腹水になると病院では末期症状として判断され余命宣告されることもあります。
腹水の根本的な治療法があれば良いのですが、病院での腹水治療では穿刺や利尿剤などの一時的な対処療法となります。
肝硬変からの腹水は治るのか
そこで、腹水の根本的な治療を求めて、漢方治療を行っているクリニックへ相談に行く患者様も多いようです。
当クリニックもその1つで、癌や肝硬変から腹水になり、余命宣告を受けた患者様から多くご相談頂いています。
実際、腹水が治るのかと言われると、「そう簡単なものではありません。」
しかし、飲みづらくても飲むことができる状態であれば、手立てはあります。
当クリニックの腹水の漢方治療方針はこちら
重要なことは腹水をコントロールすること。
このコントロールさえできれば余命宣告をされていても命は伸びると考えています。
肝硬変や癌の腹水の漢方治療
漢方薬で腹水をコントロールするためには、栄養状態を整えると共に肝臓を元気にしてあげます。
また、代謝を高めてあげることで水分代謝や循環を改善していきます。
まとめると下記のような方針で治療を行っていきます。
腹水の漢方治療方針
・栄養状態を整え、肝臓を元気にすることで水分の再吸収を促す
・炎症に対しては、それを鎮める漢方を処方
・利尿作用のある漢方で水分の排出を促進
・代謝を高めて水分の代謝と循環を改善
・胃腸に活力を与え、食欲を促進
これらの考えの元に治療を進めていきます。
五苓散は腹水に効果的?五苓散のエビデンス(症例)
漢方治療等を行っているクリニックでは腹水患者様に五苓散を処方することもあるようです。
そもそも五苓散は沢瀉(たくしゃ) 猪苓(ちょれい) 茯苓(ぶくりょう) 白朮(びゃくじゅつ) 桂皮(けいひ)の計5種類の生薬からできています。
効能としては、体の中の無駄な水分を体外へ排出する効果があります。不要な水分が溜まっている時に効果的と言われています。
様々な医療機関では腹水に五苓散を利用した際のエビデンスが公開されています。
非代償性肝硬変の難治性腹水に茵蔯蒿湯合五苓散料が奏効した一例
この様に五苓散による様々な治療結果が公開されています。
重要なことは品質です。
五苓散は様々なメーカーから出ていますが、五苓散に限らず、全ての漢方薬に共通して言えることは、漢方や元の生薬の品質です。
品質によっても効果は異なりますのでしっかりと見極めが重要なのです。
五苓散の副作用についてですが、実際、西洋薬に比べると副作用は非常に小さなものになりますが、発疹、発赤、かゆみ、体のだるさ等、いくつか副作用が報告されています。
五苓散を利用される際には、必ず専門家の指導の元、利用しましょう。また副作用が現れた際にはすぐに利用を中止し、担当医に相談しましょう。
腹水の漢方薬の値段
腹水の漢方薬では保険ができようできない自由診療では、数万円〜数十万円とその時々の症状によって大きく異なります。
漢方薬の特徴として、患者様の状態に合わせて処方を行う為、一概には金額は設定することができず、漢方治療を行っている殆どのクリニックでは価格が固定されていません。
だからこそ、患者様に最適な処方ができるというメリットがあるのです。
正確な価格を知るには、まずは相談する事が必要です。
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