
腹水が溜まると、胃や腸、胸が圧迫されて、食欲が低下したり呼吸が苦しくなることもあります。
体を真っ直ぐにすることも辛くなり、寝るのも座ったままという状態になります。
その辛さから解放されるには、腹水が減る、なくなること以外にないのですが、腹水を抜くことは体力を低下させる可能性があります。
体力を温存して腹水を排出させるために、漢方薬が使われることもあるのですが、どのような種類のものが使われるのでしょうか。
腹水治療に使われる漢方薬。ツムラ漢方で使われるもの
- 利尿作用がある
- 体の中の水分調整作用がある
- 腹水の原因となっている病気に作用する
- 腹水による症状を緩和する作用がある
腹水治療には次のような作用のある漢方薬が使われます。
同じ病気、同じ症状でも使われるものが変わります。
病院でも処方されるツムラの漢方薬では、分消湯(ぶんしょうとう)、補気建中湯(ほきけんちゅうとう)、五苓散(ごれいさん)などです。
さらに、症状に合わせて他の漢方薬と組み合わせて使われることもあります。
腹水の自然排出を目指すには
腹水が原因となる症状を緩和するには、腹水を排出することが一番なのですが、腹水を抜くことは体に負担をかける可能性があります。
治療でも腹水を抜くことは、利尿剤や食事慮法などで改善が見られない場合の、最終手段として行われることになります。
腹水にはたんぱく質が含まれていることもあり、それまで体の外に出してしまうと、必要なたんぱく質まで失われてしまいます。
また、腹水を抜くには時間もかかりますので、自然に排出できると心身共に負担が減ることになります。
腹水の自然排出は西洋薬だけではなく、東洋薬の漢方が使われることも多くあります。
腹水を取る漢方治療とは
腹水を取る漢方は、腹水を自然に排出するだけではなく、体に水分を溜めないようにするという両面からアプローチをします。
漢方では腹水そのものとそれに伴う症状の緩和、腹水の原因となっている病気にも目を向けます。
対処療法ではなく、根本からの解決を目指すのが漢方治療です。
漢方薬の副作用について
漢方薬は効果が緩やかなものもあり、副作用がない、誰にでもやさしい、安心と思われがちですが副作用が起きる場合もあります。
西洋薬ほどではありませんが、めまい、吐き気、胃部不快感、食欲不振、かゆみ、湿疹、息切れなどを起こすことがあります。
服用後、気になる症状や今までにない症状が現れた時は、副作用の可能性がありますので、すぐに医師や専門家に相談をするようにします。
漢方薬の値段について
漢方薬は保険適応されているものも増えており、病院で処方されるものであれば他の薬同様に1~3割負担で使うことができます。
保険が効かない漢方薬の場合は、ひと月数万円~数十万円になることもあります。これらは病気の進行度によって費用が大きく異なります。
腹水治療に使われる漢方薬は保険適応外のものも多く、他の漢方薬と比べると経済面での負担が大きくなる傾向にあります。
それだけ、一筋縄ではいかない深刻な症状であるとも言えます。
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