
腹膜の炎症やがん、肝臓病などによりお腹に水が溜まると様々な症状が現れ、かなりの苦痛を伴います。
腹水の治療のひとつに、腹水穿刺があります。
お腹に針を刺し体の外に腹水を流す方法ですが、これにはリスクも伴います。
腹水を抜く方法も種類がありますので、リスクも含めてご紹介します。
腹水を抜く病院治療(腹膜穿刺・CART)
腹水は病院で医師の指示により行われます。
抜く方法は2種類あります。
腹水穿刺
お腹に針を刺し、チューブをつなげて腹水を排出します。
抜く量は体の状態や溜まっている腹水の量により変わります。
腹水を抜くと血圧が下がることもあるため、ゆっくりと時間をかけて行います。
1時間以上かかることがほとんどで、長ければ数時間かかることもあります。
抜く量は体の状態や溜まっている腹水の量により変わります。
腹水を抜くと血圧が下がることもあるため、ゆっくりと時間をかけて行います。
1時間以上かかることがほとんどで、長ければ数時間かかることもあります。
CART
腹水ろ過濃縮再静注法と言わて、腹水内にあるがん細胞や細菌などを取り除き、体に必要なたんぱく質を体の中に戻す方法です。
具体的には、抜いた腹水を特殊な機械にかけ、フィルターを通して余計なものを除去し、必要な成分のみを残します。
そしてそれを点滴で体の中に戻します。
自分の中から取ったものを自分に戻すため、アレルギー反応を起こすことはほとんどなく安全な方法です。
具体的には、抜いた腹水を特殊な機械にかけ、フィルターを通して余計なものを除去し、必要な成分のみを残します。
そしてそれを点滴で体の中に戻します。
自分の中から取ったものを自分に戻すため、アレルギー反応を起こすことはほとんどなく安全な方法です。
腹水を抜くリスク
腹水を抜くことで、それに伴う症状は緩和されます。
ですが、腹水を抜くことでのリスクや副作用があることも忘れてはいけません。
血圧低下
腹水により臓器や血管の圧迫が解消され、血流が良くなることで血圧低下を起こすことがあります。
ショック症状
短時間で多量の腹水を抜くと、臓器や血管の水分圧が変化し、一気に血圧も下がりショック症状を起こすことがあります。
感染
長時間針をお腹に挿し、チューブを固定しておくことで、体内に細菌を入れてしまう恐れがあります。
血管や腸の破損
針を刺す時に、血管や腸に当たり傷をつけてしまう可能性があります。
倦怠感
特に腹水穿刺の場合は、1回に多量の腹水を抜いてしまうと、必要なたんぱく質も失ってしまうことがあり、体のだるさを感じることがあります。
腹水を抜く頻度
腹水は一度抜いてもまた溜まります。
溜まったらまた抜かなければならないのですが、溜まる量と時間は原因により違いがあります。
腹水穿刺の場合は、数日~10日置きに行うこともありますし、CARTの場合は、2週間に1回行いその間は溜まったら腹水穿刺を行うという方法を取っている病院もあります。
腹水を抜くのは完治させるためのものではなく、対処療法ですから繰り返し行うことになります。
腹水を抜く余命
腹水が溜まっている状態は、あまり良い状態とは言えません。
特にがん性腹膜炎から腹水が溜まった場合は、医師から余命告知をされることも多く末期の状態となります。
腹水を抜くことで余命が縮まる、体が弱ると言われています。
腹水にはたんぱく質も含まれているため、それも腹水と一緒に排出してしまうことで、元気がなくなる人もいますが、すべての人に当てはまることではありません。
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北海道 函館生まれ 昭和53年3月 東京医科大学 卒業。昭和62年10月医療法人木村病院 勤務。平成1年10月 東京医科大学 客員講師。平成10年3月ホロス松戸クリニック開設。漢方栄養医取得。漢方医として病気の治療を行う。主に癌や腹水、肝硬変等、難病の漢方治療を得意とする。 現代医学と東洋医療の融合である統合医療を行う医師
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