

医師 村上
腹水とは、お腹の内臓の間に水が溜まることを言います。
誰のお腹の中にも水は20~50mlくらいあるのですが、この量以上に溜まると様々な症状をきたすようになります。
誰のお腹の中にも水は20~50mlくらいあるのですが、この量以上に溜まると様々な症状をきたすようになります。
腹水が溜まる原因にはいくつかの病気が関わってきます。
原因となる病気や腹水の症状、治療について解説します。
腹水の原因とは(滲出性・漏出性)
腹水には滲出性と漏出性の2種類があります。
この違いは、腹水の原因となる病気の違いにもつながります。
滲出性の腹水
炎症性の病気により起こる腹水で、炎症が起こっている部分に抗体を運ぶために自ら血管の外に浸み出た体液がお腹に溜まったものです。
たんぱく質を多く含んでいるのが特徴です。
この腹水の原因となる病気には、がん性腹膜炎、虫垂炎、急性膵炎、細菌性腹膜炎などがあります。
たんぱく質を多く含んでいるのが特徴です。
この腹水の原因となる病気には、がん性腹膜炎、虫垂炎、急性膵炎、細菌性腹膜炎などがあります。
漏出性の腹水
非炎症性の病気により起こる腹水で、血管や体の中の浸透圧が保たれないことにより、お腹の中に水分が流れ出て溜まるものです。
たんぱく質の量が少ないのが特徴です。
この腹水の原因となる病気には、肝硬変、心不全、ネフローゼ症候群、門脈圧亢進などがあります。
たんぱく質の量が少ないのが特徴です。
この腹水の原因となる病気には、肝硬変、心不全、ネフローゼ症候群、門脈圧亢進などがあります。
難治性腹水とは
腹水が溜まると安静、食事療法、利尿剤による治療が始まります。
この治療を行って腹水がなくならない、またはなくなってもすぐに溜まってしまう腹水を、難治性腹水と言っています。
基本的な治療を行いながら、長期的に腹水と付き合っていく必要があります。
がんや肝硬変が進行した時などに難治性腹水になることが多く、予後が良いとは言えません。
腹水の症状
腹水が溜まると次のような症状が現れます。
- 腹部膨満感
- 呼吸困難
- 息切れ
- 食欲不振
- 吐き気
- 足のむくみ
少量の腹水では自覚症状が表れにくく、1Lを超えると見た目にもわかるようになりますし、腹水によって胃や胸部が圧迫され、息苦しさや吐き気を訴えるようになります。
初期の段階では、スカートやズボンのウェストがきつく感じる、体重が増えてきたというような変化で気づくこともあります。
腹水が溜まる可能性の病気がある場合は、定期的に体重測定を行い、早期発見に努めなければなりません。
病院で行われる一般的な腹水治療
腹水が溜まると一般的に安静、食事療法、薬物投与が行われます。
食事療法では塩分と水分の制限が必要になります。
腹水を排出するために、利尿剤を使ったり、たんぱく質の補充のためアルブミンの点滴が行われることもあります。
これでも改善されない難治性腹水の場合は腹水を抜く、腹水ろ過濃縮再静注法(CART)や腹水穿刺が行われます。
腹水を抜いても一時的なもので、またすぐに溜まってきますので、安静、食事療法、薬物療法は継続して行われます。
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北海道 函館生まれ 昭和53年3月 東京医科大学 卒業。昭和62年10月医療法人木村病院 勤務。平成1年10月 東京医科大学 客員講師。平成10年3月ホロス松戸クリニック開設。漢方栄養医取得。漢方医として病気の治療を行う。主に癌や腹水、肝硬変等、難病の漢方治療を得意とする。 現代医学と東洋医療の融合である統合医療を行う医師
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