腹水が溜まると、胃の圧迫による食欲不振や吐き気、胸部圧迫による呼吸困難などを始め、倦怠感や息切れなどの症状が現れます。
腹水の量が増え症状が悪化してくると、横になることも辛く寝るのも座ったままという人が多くいます。
治療は原因となっている病気や、腹水の量、身体状態などにより変わってきますが、安静、食事療法、薬物療法、腹水穿刺、腹水ろ過濃縮再静注法(CART)があります。

腹水の病院治療

では具体的に治療の内容を見ていきましょう。

安静

横になることで肝臓や腎臓に血液が行き渡りやすくなり、血液中の水分バランスが整いやすくなると共に、余分な水分の排出も促されるようになります。

食事療法

水分と塩分制限が必要です。
水分は1L以下に、塩分は5~7gに制限されることが多く、腹水の量や程度によりさらに制限されます。

薬物療法

利尿剤を使用し、余分な水分を体外に排出します。
アルブミンが減少している場合は、アルブミンの点滴を行うこともあります。

腹水穿刺

お腹に針を刺しチューブをつないで、溜まっている腹水を排出します。

腹水ろ過濃縮再静注法(CART)

取り出した腹水を特別なフィルターを通して、アルブミンや電解質、水など必要な要素だけを残し、再び体内に戻す方法です。
腹水の中には体に必要な成分も入っており、すべて捨ててしまうことで体への負担が大きくなります。
それを解消する治療方法として近年注目が集まっています。

安静、食事療法、薬物療法でも改善されない腹水を難治性腹水といい、腹水穿刺と腹水ろ過濃縮再静注法はこの難治性腹水に対して行われる治療方法です。

腹水の漢方治療

腹水治療は上記のような西洋医学だけではありません。
東洋医学の漢方治療も選択肢にあります。

漢方は病院でも処方してもらえますし、漢方の専門治療院や薬局で購入することも可能です。
漢方専門の治療院や薬局では、ではその人の症状や状態に合わせて、必要なものをブレンドしていきます。

東洋医学では体内のバランスを取ることにも注目しています。
腹水を排出するだけではなく、水分の吸収と排出のバランスを取りように内臓に働きかけます。
五臓(肝、心、脾、肺、腎)を整え、自然な水分調整と体の代謝機能を促すのです。

漢方治療はこれまでの経過や現在の状態を把握して諸法してもらう必要がありますので、医師との相談が必要になります。

自然排出は可能か

腹水の治療は上記で挙げた5つになりますが、そのほとんどは対症療法です。
症状を緩和するためのもので、根本的な治療はなかなか難しいとされています。

そのため何度も腹水貯留を繰り返してしまう人も多く、その苦しさに悩みます。
治療は少なからず身体的な苦痛も伴います。
自然排出が可能であればこの苦痛も軽減させることができます。

自然排出の可能性を秘めているのは、内臓機能の働きを調節する効果のある漢方です。
今後、漢方が腹水治療にどのように影響を与えるのか期待が強まります。

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北海道 函館生まれ 昭和53年3月 東京医科大学 卒業。昭和62年10月医療法人木村病院 勤務。平成1年10月 東京医科大学 客員講師。平成10年3月ホロス松戸クリニック開設。漢方栄養医取得。漢方医として病気の治療を行う。主に癌や腹水、肝硬変等、難病の漢方治療を得意とする。 現代医学と東洋医療の融合である統合医療を行う医師