
腹水とはお腹の中にある水が、正常の量を超えて溜まった状態を言います。
お腹にある内臓は腹膜という膜に覆われており、お腹内部の壁と腹膜の間には腹腔と呼ばれる隙間があります。
そこには誰にでも20~50mlくらいの水があるのですが、病気によりこの腹水の量が増えてしまうことがあります。
腹水が溜まることで様々な症状が起こりますので、適切な治療が必要となります。
腹水の診断・検査方法
腹水が多量に溜まると見た目にもお腹が膨れてきますし、お腹を軽く叩くと鈍い音がします。
腹水は1Lを超えると外見的な変化がわかるようになりますが、それ以下の場合はわかりにくく検査により診断をすることになります。
診断をするための検査は主に2つあります。
- 超音波検査(エコー検査)
- CT検査
この2つの検査で腹水が溜まっているのか、量はどのくらいなのかを把握することができます。
検査に至るまでには、医師の診察(打診)結果によるものが一番ですが、本人からの症状の訴えなども大切な要素となります。
腹水の原因を見つけるためには、腹腔穿刺といってお腹に針を刺し、腹水を少量抜いて成分分析をすることがあります。
腹水の主な症状
では、腹水が溜まってくるとどのような症状が現れるのでしょうか。
1.外見的な症状
- お腹が膨らむ
- お臍が平坦になる
- 足のむくみ
見た目にはそれほどわからなくても、ズボンやスカートがきつく感じる、お腹が張っているように感じる、体重が増えてきたという変化から気づく人もいます。
2.身体的症状
- 食欲不振
- 呼吸困難
- 吐き気
- 息切れ
- 体の冷え
腹水が溜まることで、横隔膜が上に押し上げられ胃や胸が圧迫されます。
そのため上記のような症状が現れるようになります。
また、体の中に水分があることで冷えを感じる人もいます。
外的な症状の場合は太っただけかな?と勘違いしやすいですし、身体的な症状の場合は年齢や疲れと思いがちなものです。
腹水は少量の場合は症状として表れにくいですから、こうしたほんの少しの症状を見逃さないようにすることが早期発見にはとても大切なことです。
腹水の5つの治療方法(病院治療・漢方)
腹水の治療は一般的に5つあります。
- 安静
- 食事療法
- 薬物療法
- 腹水穿刺
- 腹水ろ過濃縮再静注法(CART)
まずは安静にして、塩分と水分の制限が行われます。
それと同時に薬物療法が行われます。
薬物療法では利尿剤が使われることが多く、漢方薬が用いられることもあります。
腹水の原因がアルブミンの低下によるものの場合は、アルブミンの投与がなされます。
治療は原因や程度により変わりますので、医師の診断を受けて計画的に行われます。
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