膵臓がんは自覚症状が少ないこと、進行が速いことから臓器別がんの中でも早期発見が難しく、手術によって摘出・切除できる患者は非常に少なく、多くは抗がん剤による化学療法を主とした治療により、完治ではなく、がんの進行を抑制して延命を行うことになります。

 

しかし、抗がん剤は非常に薬効の強い薬ですから副作用も強く、脱毛や吐き気が生じる人も多く、また、時には命にかかわる事もございます。

そこで、自己免疫機能を高めたり、がん細胞の増殖を抑制する働きがあり、なおかつ副作用の少ない漢方薬が注目されています。

 

すい臓がんの治療法

上記のとおり、すい臓がんは進行が早く、手術・切除による治療が困難なため、抗がん剤による化学療法が主となります。

また、切除不能ではあるものの多臓器への転移がない場合、放射線療法が併用されることもあります。

その他、免疫細胞である細胞傷害性T細胞を活性化してがんの増殖・進行を抑える免疫療法、がんによる諸症状、痛みや苦痛を緩和し、QOLを保ちながら延命を試みる、いわゆる対処療法となる支持療法などがあります。

また、重粒子線が一部のすい臓がんに有効であるとの報告もありますが、現在は保険適応外の先進医療として試験的に行われているにすぎません。

 

すい臓がんの漢方治療とは

すい臓がんは完治ではなく、免疫機能を向上することで、がん細胞を排除したり、がん細胞の増殖を抑制することで、がんの退縮や進行を抑え、延命を試みる治療になります。

漢方薬の中には、こうした免疫機能を高める働きを持つものが多くあります。

また、免疫機構が必要以上に異物を認識して攻撃しないように調整している制御性T細胞という細胞があります。すい臓がんの患者では健康な人と比べて血中の制御性T細胞の数が多く、細胞傷害性T細胞ががん細胞を排除する働きを弱めていることがわかっています。この制御性T細胞を減らすことができれば、がんの進行をより抑制することができるのです。

 

すい臓がんの漢方薬

上記の免疫機能賦活化すなわち細胞傷害性T細胞の増加、制御性T細胞の現象に関して、十全大補湯という漢方薬を投与した研究があります。

http://www.qlife-kampo.jp/feature/shohou_jyuzentaihotou/dr_ikemoto/story4991.html

コチラの症例では、すい臓がんのうち最も進行しているとされているステージIVのaまたはbと診断された進行性すい臓がんの患者30人に十全大補湯を投与し、同数の健常人との制御性T細胞の数、CD4細胞(細胞障害性T細胞に司令を出すヘルパーT細胞)/CD8細胞(細胞障害性T細胞)の比を検討しました。投与の方法は、食前1回2.5gを1日3回、14日間です。

結果、制御性T細胞の数は減り、CD4細胞/CD8細胞の比が高くなった=がん細胞排除を命令するヘルパーT細胞が増加したことがわかりました。また、この実験による副作用は見られませんでした。

この様に膵臓がんの漢方治療に関して多くの研究が進んでおります。

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北海道 函館生まれ 昭和53年3月 東京医科大学 卒業。昭和62年10月医療法人木村病院 勤務。平成1年10月 東京医科大学 客員講師。平成10年3月ホロス松戸クリニック開設。漢方栄養医取得。漢方医として病気の治療を行う。主に癌や腹水、肝硬変等、難病の漢方治療を得意とする。 現代医学と東洋医療の融合である統合医療を行う医師